RAT (Radio Access Technology) は、無線通信で使用される技術規格のことです。「LTE-M」や「NB-IoT」は、IoTデバイス向けの通信技術として設計されています。それぞれの特徴を詳しく説明します。
LTE-M (LTE Cat-M1)
- 正式名称: Long-Term Evolution for Machines (機械向けLTE)
- 用途: IoTデバイスの中で、以下のようなニーズに対応するための技術
- 中程度のデータ通信速度が必要。
- バッテリー寿命を長く保つ。
- 移動中の通信が可能。
- 特徴:
- 音声通信 (VoLTE) に対応。
- 最大 1 Mbps のデータ通信速度をサポート。
- ライセンスされたLTEの周波数帯域を利用。
- モバイルデバイスや追跡デバイスに適している。
- 主な用途例:
- スマートメーター。
- ヘルスケアモニタリングデバイス。
- 車両管理システム(フリート管理)。
NB-IoT (Narrowband IoT)
- 正式名称: Narrowband Internet of Things (狭帯域IoT)
- 用途: IoTデバイスの中で、以下のようなニーズに特化
- 極めて低いデータ通信速度。
- 深い屋内や遠隔地での通信。
- 超低消費電力。
- 特徴:
- データ通信に特化し、音声通話には非対応。
- 最大 250 kbps のデータ通信速度。
- ライセンスされた周波数を使用し、LTEのガードバンドや独立した帯域で運用。
- LTE-Mよりも低コストで、デバイス設計がシンプル。
- 主な用途例:
- スマートシティのインフラ(例: 駐車場センサー、環境モニタリング)。
- 農業(例: 土壌センサー)。
- 工業用IoT(例: ユーティリティの遠隔監視)。
LTE-MとNB-IoTの主な違い
| 特徴 | LTE-M | NB-IoT |
|---|---|---|
| データ通信速度 | 最大 1 Mbps | 最大 250 kbps |
| 音声対応 | 対応 (VoLTE) | 非対応 |
| 通信範囲 | 中程度 | 拡張(屋内に強い) |
| 消費電力効率 | 高い | 非常に高い |
| 移動体通信 | 対応 | 限定的(静的用途向き) |
| 遅延 | 低い (10~15ms) | 高い (1.5~10秒) |
これらはそれぞれ異なるIoTのニーズに応じて設計されており、補完し合う関係にあります。例えば、移動体通信が必要なデバイスにはLTE-Mが、静止した環境で低コストを重視する場合にはNB-IoTが適しています。